飛騨高山の隠れ家喫茶「ツタヤ」|琥珀色のコーヒーとジャズが香る癒し空間

古き良き町並みに溶け込む、やすがわ商店街の名店

飛騨高山の中心部にある「やすがわ商店街」は、宮川朝市や古い町並みにもほど近い観光導線上にあり、地元の人々と観光客が交差する活気あふれる場所です。そんな商店街の一角に、ひっそりと佇む喫茶店「ツタヤ」は、まさに「知る人ぞ知る」隠れ家カフェ。茶色の外観の趣のある店構えは、通りを歩いていてもつい足を止めたくなる魅力を放っています。

観光で歩き疲れた時、静かに一息つきたくなるような場所。「ツタヤ」はそんな願いを叶えてくれる、飛騨高山の中でも特に落ち着いた時間が流れる喫茶店のひとつです。

店舗名自家焙煎 ツタヤ(津田屋)Cofee Tea
住所〒506-0842 岐阜県高山市下二之町77
営業時間10時00分~16時00分
定休日毎週木曜日

扉を開ければ、ジャズと珈琲の世界

「ツタヤ」の店内に足を踏み入れると、まず耳に届くのは心地よいジャズの音色。音源はCDではなく、すべてレコードから。店主自らが選び抜いたレコードを使って再生される音楽は、アナログならではの温かみと奥行きを感じさせ、まるで時間がゆっくりと流れる別世界に入り込んだかのような錯覚を与えてくれます。

選曲もその日ごとに変わるため、何度訪れても違った雰囲気を楽しめるのも魅力のひとつ。ジャズ好きにはたまらないラインナップが揃っています。

おしゃれな店主が手がける「琥珀色の一杯」

そして、「ツタヤ」を語るうえで欠かせないのが、店主の存在。落ち着いた物腰とセンスの良さがにじみ出る佇まいで、まるでこの空間すべてが彼の美意識で統一されているかのよう。インテリア、音楽、メニュー構成に至るまで、細部にまでこだわりが感じられます。

中でも特筆すべきは、店主が自ら焙煎する「自家焙煎珈琲」。豆の選定から焙煎、抽出まで、すべてを一人で手がけており、提供されるコーヒーはまさに芸術品の域。中深煎りの豆から丁寧にドリップされた一杯は、まるで琥珀のように透き通る色合いと、複雑で豊かな香りを兼ね備えています。

口に含むと、まずやわらかな苦味が広がり、続いて香ばしさとほのかな甘みが余韻として残る。豆本来の個性を最大限に引き出す焙煎技術と、的確な抽出があってこそ成せる味わいです。

自家焙煎珈琲のお持ち帰りも可能

オリジナルブレンドから、ストレートまで、様々な豆のお持ち帰りができます。マイルドブレンドは、100g650円(税込)。迷ったときは店主に相談してみてください。国内限定ではありますが、代引きでの通販も可能です。高山のお土産に自家焙煎の珈琲豆を選ぶのもおしゃれです!

=オリジナルブレンド=

名前価格(100g)
マイルドブレンド¥650
イタリアンブレンド
酸味をおさえた程よい爽やかな苦みのマイルドブレンドと、苦みが引き立つイタリアンブレンド。
¥700
プレミアムブレンド
深煎りのマンデリントバコが効いた上品でコク深いブレンド。ブラックがおすすめです。
¥750

=ストレート=

名前ロースト価格(100g)
コロンビアSPフルシティロースト
イタリアンロースト
¥750
¥750
グアテマラSHBフルシティロースト
イタリアンロースト
¥800
¥800
ブラジルno2 18フルシティロースト
イタリアンロースト
¥750
¥750
マンデリントバコG-1イタリアンロースト¥850

※フルシティロースト:中深煎り、ほどよい苦みの焙煎です。

※イタリアンロースト:深煎り、強い苦みの焙煎です。

=その他=

名前価格
カップオンコーヒー5杯分入り¥650
カップオンコーヒーギフトBOX(10杯入り)¥1,400
水出し珈琲60g×2袋入り
(1袋で約5杯作れます)
¥1,200

空間すべてが、心を癒す「インテリア」

店内のデザインは、無駄をそぎ落としたシンプルさと温もりを兼ね備えています。木の質感を活かしたテーブルと椅子、アンティーク調の照明、そして棚に並ぶレコードや古書たち。すべてが調和し、「居心地の良さ」を追求した空間が広がっています。

席数は多くなく、大きな声での会話も控えめにという暗黙のルールがあるため、静かに読書をしたい人や、一人でゆっくり時間を過ごしたい方にもぴったりです。喧騒から離れ、自分だけの時間に没頭できる貴重な場所がここにはあります。

メニューはシンプルにして極上。迷わず「珈琲」を

「ツタヤ」のメニューは驚くほどシンプル。過度なバリエーションはありませんが、その中に店主の確固たる信念が感じられます。メインはもちろん自家焙煎のホットコーヒー。

ナッツのような香ばしさが特徴のグアテマラ、中深煎りでバランスの取れたブラジル。どれも豆本来の個性を活かしつつ、店主のこだわりが詰まった味わいです。コーヒーに詳しくない方でも、「酸味は少なめがいい」「すっきりした味が好み」など気軽に相談すれば、ぴったりの一杯を丁寧に選んでくれます。

また、お隣のパン屋「ハイジ」のパンを店内に持ち込むことができるため、パンを購入してから入店するのがおすすめです!

“観光地”であることを忘れさせる時間

飛騨高山といえば、古い町並みや高山陣屋、宮川朝市といった観光名所が並ぶ賑やかなエリア。しかし、「ツタヤ」に一歩入ると、その喧騒はまるで別世界の出来事のように遠ざかります。ここは観光の途中で立ち寄る“喫茶”ではなく、あえて目的地として足を運ぶべき場所。

特に印象的なのは、朝の時間帯。やすがわ商店街がゆっくりと目覚めはじめる午前9時頃、まだ人通りも少ない静けさの中で飲む一杯は格別です。天井から差し込む柔らかな自然光、漂う珈琲の香り。それらが交わる瞬間、時間の感覚すら忘れてしまいます。

ジャズとコーヒーがつなぐ“文化”としての喫茶店

「ツタヤ」は、ただの“飲食店”ではありません。音楽・珈琲・空間を通して、人と文化をつなぐ場でもあります。店主が大切にしているのは、「喫茶店という場所が、心のよりどころになってほしい」という想い。毎日来る常連客、旅行の途中に立ち寄った観光客、ふらっと入った若いカップル──立場も目的も異なる人々が、同じ音楽と空間を共有し、それぞれの時間を過ごす。それこそが、この店の持つ魅力なのです。

また、店内には店主が趣味で作った革製品が展示されていることもあり、まるで小さなギャラリーのような一面も。飛騨高山という土地に根ざしながら、静かに文化を発信し続けている「ツタヤ」は、まさに“高山の良心”ともいえる存在です。

再訪したくなる理由。それは“記憶に残る味と空間”

観光地の飲食店にありがちな「一度行けば満足」では終わらないのが「ツタヤ」のすごさ。むしろ「また行きたい」「もう一度あの珈琲を味わいたい」と思わせてくれるのです。それは、味覚だけではなく五感すべてに訴えかけてくるからこそ。音楽、香り、光、手触り、空気感──一度でも体験すれば、記憶の奥深くにしっかりと刻まれる体験になります。

旅の記憶とは、風景やグルメだけでは語り尽くせないもの。自分だけのとっておきの場所、静かに心がほどけるひとときを過ごせる場所を見つけた時、人はその土地に特別な感情を抱くのです。飛騨高山の「ツタヤ」は、まさにそんな場所の一つです。

アクセスと立ち寄り方のコツ

「ツタヤ」は、やすがわ商店街の中ほど、商店街アーケードの屋根がかかるエリアに位置しています。最寄りの観光スポットである「宮川朝市」からは徒歩3分、「高山陣屋」や「古い町並み」からも5分圏内と、まさに“観光ルートの途中”にぴったりの立地。

おすすめの訪問時間帯は、午前中の10時〜11時頃。観光地として賑わう前の静かな時間帯なら、店内の雰囲気をじっくり堪能でき、ジャズの音色もより心に沁み入ります。ランチ後の14時頃も比較的空いていて、読書やゆっくりとした時間を過ごしたい人には最適です。

なお、混雑状況によってはゆったりとした席数ゆえに満席になることもありますので、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。

まとめ|飛騨高山で“自分と向き合う時間”を

飛騨高山のやすがわ商店街にひっそりと佇む「喫茶ツタヤ」は、観光の喧騒を忘れさせてくれる隠れ家的な存在です。茶色い外観が町並みに溶け込み、風情あるたたずまい。扉を開けば、耳に心地よいレコードジャズが流れ、店主こだわりの空間演出に一瞬で心が癒されます。

ここで味わえるのは、自家焙煎された極上の一杯。中深煎りから深煎りまで丁寧に焙煎された豆は、苦味と香ばしさのバランスが絶妙で、まるで琥珀のような美しさと深い味わいが広がります。定番のマイルドブレンドからコク深いプレミアムブレンド、個性が際立つストレートコーヒーまで、どの一杯にも店主の真摯な姿勢と情熱が込められています。

また、レコードの音色、木の温もり、控えめな照明、そして控えめな会話が保たれた空間が心を落ち着かせ、読書や静かなひとときを過ごしたい方にも最適。観光地でありながら、自分自身と向き合える稀有な場所です。

コーヒー豆のテイクアウトや通販にも対応しており、旅の思い出として自宅でもツタヤの味を楽しめるのも魅力のひとつ。隣のベーカリー「ハイジ」のパンを持ち込んで、コーヒーと一緒に味わう楽しみ方もおすすめです。

ツタヤは「ちょっと休む喫茶」ではなく、「わざわざ行きたい喫茶店」。音楽、珈琲、空間、そして人の温もり──それぞれが交わり、旅人の心に静かに寄り添う場所。それが飛騨高山の「喫茶ツタヤ」です。初めてでもどこか懐かしく、きっとまた訪れたくなる。そんな記憶に残るひとときを、ぜひ体感してみてください。